「火花」の読書感想文を書いてみました。
まだ火花を読んでいない人は、先に読み終わってから、この感想文を見て共感などしていただけたら嬉しく思います。
先に感想文を読んでしまうと面白さも半減してしまうと思うのでご注意ください。
火花を読むことになったきっかけ
火花を読もうと思ったきっかけは「花火」です。
と言うのは、ニュースで火花の話題が取り上げられていた時に、インタビューを受けていた人が言った一言が印象的だったんです。
その一言は
「私、花火大好きです!」
っと。
インタビュアーの方から火花ですって突っ込まれていた、そんなニュースを目にして興味をそそられたというちょっと変わったきっかけだったんです。
だから、読みたいと思ったきっかけはなんですか?と聞かれると「花火」って答えてしまいます。
又吉さんの作品であるということ
読みたいと思ったきっかけには、花火だけでなく当然「芸人の又吉さん」が書いた作品であるということも大きな要因となっています。
お笑いの世界でも独特の空気感をもち、CMに抜擢されるほどのファッションセンスをもった又吉さんが、いったいどんな作品を書いたというのか、興味を抑えることは出来ませんでした。
師匠と後輩の物語
火花の中で登場するメインの人物は二人。
一人のお笑い芸人と、その芸人にあこがれる年下の後輩。
それぞれに相方が存在しているのですが、その相方はほとんど登場しないという展開になっています。
そこには「又吉さんの相方に対する存在感」みたいなものの表現が含まれているのかなと、少しコンビの行く末が心配になってしまうような側面も感じました。
でも、これはあくまで登場人物たちにとってのお話しなので、現実のピースとしての関係とは無関係だと良いなと思いました。
憧れの先輩が優先
先輩芸人の神谷と後輩芸人の徳永。
後輩と先輩の二人がメインとなって進んでいく物語からは「芸人にとっては相方以上に尊敬する先輩やかわいい後輩が大切」と言わんばかりの思いを感じました。
よく「相方とは遊ばない」みたいな話をする芸人さんは多いので、本当にそういうものなんだなぁって。
そう言えば、あの「ダウンタウンさん」も楽屋が別とか打ち合わせを一切しないとかいうことを話していたので、あえてそのスタンスを選ぶ芸人さんも多いのかも知れないですね。
あとは意外に神谷さんの彼女が登場する機会があるので、相方よりも彼女を大切にする一面もあるのかなって勝手に思ってしまいました。
面白さには絶対がない
火花を読んでいて思うことは「面白さには絶対がない」ということです。
神谷のことが面白くて尊敬している後輩芸人の徳永。
しかし、神谷はとくにブレイクすることもなく、売れない芸人でい続けているのです。
そこには徳永が面白いと感じているものと、世間の大多数が求めている「面白さ」とのギャップを感じずにはいられませんでした。
もしかしたら突然の大ブレイクがおきる日がやってくるのかもしれませんが、大衆から認められない芸を貫くことは、かなり強いメンタルが必要なのではないかと感じます。
そんな中で、独特のオーラを放ち続ける芸人又吉さんは、自分を貫いた曲がらない意志をもった「本物の芸人」なのだなと考えずにはいられませんでした。
神谷は面白い?つまらない?
火花の中で神谷は売れない芸人。
作品を読んだ人が神谷を「面白い」と感じながら読んでいるのか「つまらない」と感じながら読んでいるのかが非常に気になるところです。
少なくとも感想としては「徳永にとってはツボなんだけど・・・売れないんだろうなぁ」って思わせてくれる絶妙なバランスがとれていたと思います。
これで読者が「神谷めっちゃ面白い!」って評価してしまうような神谷では、売れない芸人って設定がおかしくなってしまうし、逆に「つまらなすぎ」では徳永が憧れる先輩芸人としての設定が成り立たなくなってしまうと思うから。
この神谷のキャラクターが絶妙なバランスだからこそ、読者を丁度良く引き込んでくれる魅力を火花は放っているのではないでしょうか?
火花 【新品】【本】又吉直樹/著 |
今後の又吉さんに興味深々
読み終えてみて、一気に興味がわいたこと。
それは今後の又吉さんの活動について。
2015年、夏休みを目前に控える7月半ばに「芥川賞作家」となった又吉さん。
これまでのように芸能活動を中心に活動を続けていくのか、それとも作家としての活動がメインになっていくのかといった今後が気になってしまいます。
これは「芸人」である又吉さんの宿命なのかも知れませんが、純粋に作品だけの感想を得ておしまいとはいかないところがどうしてもありますね。
しかし、芸人の又吉さんの作品だからこそ、こうして興味を引かれたということも事実なので、そのメリットを今後どのように又吉さんがいかしてくのかに注目してしまいそうです。
綾部さんは嫉妬しないのか
相方の綾部さんは、今回の火花についてどんな感想をもっているんだろう?
嬉しいのかな?嫉妬するのかな?
この作品がきっかけで、コンビ間に「火花」が散らないことを願ってやみません。
羽田圭介さんの『スクラップ・アンド・ビルド』とのW受賞
又吉さん、芥川賞おめでとうございます!