2004年にPS2で、また2008年にPSPで発売されたテイルズオブリバース。
「君が生まれ変わるRPG」と銘打たれているこの作品では、ヒトの種族をめぐる物語が中心となっており、キャラクターたちの葛藤や想いが印象的な作品です。
今回はそのリバースの感動シーンの一部を紹介します。以下ネタバレに注意です。
ヒルダとナイラ【親子の愛、悲しい結末】
「……私……一度もあの人の事、お母さんって呼んだ事なかった……」
この作品にはヒトの中に獣の姿をした「ガジュマ」、人間の姿の「ヒューマ」が存在しますが、中には二つの種族の間から生まれるハーフもいます。
パーティーメンバーのヒルダもその一人です。ハーフは忌み嫌われる存在であり、彼女も孤独を抱き、葛藤します。
そんな中、主人公たちはヒルダの母のいる村にやってきます。最初はヒルダを出て行くようにと拒む母ナイラ。
ヒルダもまた、物心ついたころから両親がなかったためにずっと母には捨てられたと思っていました。
しかし、ナイラの拒否も全てヒルダを思ってのことであったということを、彼女がヒルダを庇って亡くなってから知るのです。悲しい結末ですが、親子の愛が見られる感動的なシーンです。
ヴェイグとティトレイ【夕日の海岸の殴り合い】
「苦しいんなら苦しいって言えよ!! つらいんならつらいって言えよ!!」
主人公のヴェイグは、根は熱いのですが普段は寡黙なため、自分の気持ちをなかなか周りに言わないことがあります。
誘拐されてしまった幼馴染のクレアは、女王でガジュマのアガーテと姿が入れ替わってしまうものの、ヴェイグはクレアの心を持ったアガーテを助け、共に行動します。
しかし、ヒューマとガジュマの諍いを見、自分の隣にいるのは本当にクレアなのか?という質問を重ねられれば重ねられるほどに、彼は悩みます。
そんなときに仲間のティトレイが、彼に拳で殴りあうことを仕向け、本音を言わせるのです。
普段は三枚目ですが、いざというときは頼れる仲間の姿やようやく自分の本心に向かい合った主人公の姿は熱い展開です。主題歌のアレンジ版が流れるのもポイント。
もし自分だったら……ということを考えさせられることが多いのですが、このヴェイグの葛藤も悩ましいものです。
アガーテ(他人)の姿であってもクレアはクレアだ、といくらわかっていても、たとえ中身は同一人物であっても姿が違うだけでどうしても本当は誰なのかわからなくなってしまう。
それでも胸を張ってクレアだと言えるか、と悩む姿は現実味があり、印象深いです。
クレアの演説が種族を問う
「あなたの美味しいと感じる心に……種族はありますか?」
リバースをやっていないことがなくても、リバースといえば「ピーチパイ」が思い浮かぶという人もいるのではないでしょうか。
今作一番といっても過言ではないこのシーンは、女王アガーテの姿となってしまったクレアが述べたものです。
クレアは戦闘に参加しない、テイルズには珍しいタイプのヒロインなのですが、彼女の芯の強さは「この子も戦ってるんだな」と思わされます。
そして、彼女のこの言葉は後にもヴェイグの背中を押してくれる、大切なものです。
ヒューマもガジュマも同じ「ヒト」である、ということを身近なもので語られていることは、どことなく優しさや温かさも感じられます。
↑クレアの演説動画
まとめ
今作は種族の対立や葛藤をテーマとしており、終始ぶれることがないため遊んでいても考えさせられることがいくつもあります。
また、パーティーメンバーも、それぞればらばらな立ち位置での考え方を持っている中、自分たちの苦悩を乗り越えていく姿はどれも感動的です。
重たい内容ではありますが、テーマの深さは一級なので特にシナリオをじっくり味わいたい人に是非ともお勧めしたい作品です。